〜バンエンティア号〜
新しい従業員が入ったことには、早くも噂化された。
しかし、まだその従業員の姿を見たものは少ない。
その新しい従業員は今、部屋で一人落ち込んでいる&ムカムカしているからだ。
その新しい従業員に興味を持っているものはもちろんいる。
青い髪の弓をもった青年が、大きな箒をもった少女と語り合っている所、
その新しい従業員の話をしていた。
「新入りが入ったっていうのに、それらしき人が全然居ないわね―。」
少女は不満げに言っている。
「なにか不満そうだな。」
「当り前よ!新入りのくせに先輩の挨拶も無しで失礼な奴よ!」
「ただシャイな奴なだけかもしれないがな」
「ふーん。今回の新顔は随分肝っ玉が小さい男なのね。」
語り終えた瞬間、どこかで猛烈にドアが開く音がした。
遠くで小さい影がこっちに向かっている
「あら、なにかし
」
小さい影のとび蹴りが見事に首筋に命中した
「だあああああああれがミジンコスーパアアアギガントドチビじゃあああああああああああああああああああ!!!!!!」
血の気の多いその顔は、そこにいた多くの人に最悪の第一印象を与えた。
〜医務室〜
「みごとに折れてるわね。首」
「まあ生きてるだろうけどね」
姉弟と思われる銀髪の二人組が、すこしあきれて溜息をついた。
「今回の新入りは随分元気がいっぱいだねえ。」
弟と思われる少年は、厄介者が増えたと思い、少し疲れ顔になっている
「そうね。でもあれぐらいのほうがけっこう頼もしいわよ。」
え〜、とめんどくさそうに返した
「新しく入った仲間なんだから、あいさつしてきたらどうなの?」
〜広場〜
エドワードは、なにか大事なものを探しているかのように動き回っていた
「あれ?マントは?マント――?」
いくら探しても見つからないのか、そこにあった布を錬成して、派手な真っ赤のマントを作った
「うおお!?」
新入りに興味を持って集まっている者たちが、いきなりの奇妙な出来事に驚いていた。
「それは召喚術というものか?」
青髪の、後ろに髪を結んであり、本を持ち歩いている学生と思われるものが、エドに聞いてきた。
「いやこれは錬金術っていうものだ。」
「錬金術?聞いたことがあるが確かこんな簡単にできるわけがないぞ?」
「ああ。俺の使っている錬金術は発展した技術及び学問。物質の構成や形を変えて別の物に作り変える技術とそれに伴う理論体系を扱う学問っていうやつだ。」
周りのものは、いってることが難しすぎてさっぱりわからなかったが、
「そんな情報じゃ単純すぎる。もっと簡単に言ってくれ。」
キールがその言葉を発して、周りの者は衝撃を受けた。
「そうだな。詳しく言うと、その物質の構成元素や特性を
理解し、物質を
分解、そして
再構築するという3つの段階を経て完了するなだが、錬金術の原則は特価交換で、必ずやその物質を作るための材料が必要になる。
また火や水などは・・・・・・・」
周りの者はもうすでに寝ていたが、キールはちゃんとノートにまとめてあった。
「・・・・・・・これからするとぼくにはこの錬金術を使えるのは不可能に近いな」
「まあな」
「あ?終わった?」
周りの者が起き始めた
起き始めた瞬間に、キールの友達であるような赤髪で短髪で、へそ出しの服で、服装だけでみると、
いやーな奴を思い出すような格好をした青年が、質問してきた
「なあ!肉とか出せるのか!?」
「「出せるかアホオ!!!」」
二人の声がハモッた。二人からにすれば話を聞いていなかった奴と思ったであろう。
「それじゃあ金とか銀は?」
今度はぬいぐるみを背負った少女が、質問してきた
「ああ。それなら出せる」
返答を聞いて、少女の目が鋭く光った。
「でもそうなるとこの国は乱れるだろうな。」
エドは淡々と話し続けた
「錬金術の法則で[金を造るべからず]ってのがあるんだ。これは経済混乱を防ぐためだっていわれてる」
少女は猫名で声で
「まあまあ代官様、いまここではだあれも見てませんぜ。みんなも黙ってくれまさあ。だから金や銀を一つくらい」
「だまれ豆女」
エドはなんのためらいも無しに鋭く返事をした。
「なっ!!今なんと!!」
「うるせ―――!!!!何度でも言ってやるよ!まーめまめまめ豆女ああああああああああ!!!」
楽しそうに豆を連続で喋り続けた
以前にまめまめ言われていたため、人を豆呼ばわりにするのが無性に楽しかった。
そう口論をしているときに、銀髪の少年が広場に入ってきた。
「なにしてるの?」
「ああ。なんでもあいつ、何もないところから何でも出せるみたいなんだ。さっきなんかはこの鉛筆を伸ばしてくれたぜ!」
この髪が逆立っていて、腰の左右に剣を着用している。双剣使は全く話を聞いていないことが分かる。
キールは、その男を見つめた後、溜息を吐いた。
「へーそれはすごいや。ねえ君君。」
エドはうざったそうに返事をした
「ああ!?」
よく見ると巨大なぬいぐるみと戦っているのが見えるが、見えないのかお構いなしに質問をした
「身長が伸びる方法を知ってないかい?」
「そんなもんがあったら俺が使いたいわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
次の錬成で、ぬいぐるみの周りに壁を作り、最後に天井を作った
「よし。うるさいのが消えた!」
ガッツポーズをすると同時に、造った巨大な箱に蹴りを入れた。
どうやら相当、腹が立っていたようである。
「そういえば、お見舞いに行かなくていいの?」
こんどは、金髪の、白い服に青いラインが入ったような、巫女みたいな格好をしている少女が、質問をしてきた。
「は?見舞い?誰の??」
「ほら、カノンノちゃんだよピンク髪の・・・・」
「誰それ?」
エドは落ちてきたときに頭から受けた少女をまっっっっったく覚えていないそうだ。いやむしろ見ていないそうだ。
「でも、一応心配していた人だから・・・・。」
あーわかったわかったとめんどくさそうに言って、エドは医務室を探した。